同社の棚野社長は元々は明石で生まれ、小学校に入る前に母親の故郷だった新居浜市に引っ越してきた。学校を卒業してから電気工事会社に就職し、当時は製鉄所などの立ち上げ時の電気工事に携わり全国を駆け回ったという。その後、四国中央市の製紙関係の工場に出入りするようになってから仕事も増え、1951年に独立創業した。
プラントにおける電気工事一式を請け負う一方でこれまでも自らこんなものがあれば便利だと考える省力化機器を次々開発してきた。
ケーブルを延線するための機器「BOSS」や、線が巻かれたドラムを回す機器など同業者にも受けて引き合いもある。開発した「省力型門型クレーン」もそのひとつ。


開発した門型クレーンは狭い空間の従来配電盤の設置の際に効果を発揮する。従来は移動時にコロやバールを使用して使用するため、転倒や指を詰めたりという危険性があった。
また設置時にもチェーンブロックと台付けを用いて設置する場合には上部に1m以上の空間が必要であった。本製品はクレーン上部のレールに設置された可動式の吊り具で配電盤を吊り上げて移動させることができる。また油圧ジャッキで持ち上げるので、高さの余裕のない室内でも設置が出来る。
これにより4名程度必要で合った作業が2名での可能ができる。天井まで3mあれば設置が可能。解体して現地までの移送が可能で3tのせり上げ能力を有する。ビーム長は客先に合わせてカスタマイズが可能。2tトラックに載せることができる。組み立ても簡単。ポイントはフックの回転、自在に動くターンテーブルで人が少なくて安全に少人数で作業が出来る。実際に四国中央市の製紙会社での大規模な起工事の際に約100面を設置するのに大活躍した。

こうした工事はいくら注意していても人のやることなので、ふとした油断や慣れにより怪我や事故に繋がることがある。自らの経験からもそうならないように開発した。プラントだけではなく制御盤を置いている大型施設など、新設、移設、廃棄などに力を発揮する。 同じような経験を持つ方に役立つ装置になればとまずは自分が知ったところへ声を掛けてみて全国へいずれ広げていきたいと棚野社長は語る。
