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ステンレスの板金加工に特化し、精密加工も高品質に仕上げます

2019年認定【認定製品・技術】ステンレスの薄板板金加工

 

 大伸ステンレスは、ステンレスの薄板板金加工に特化して事業を展開している。医療機器や食品機械、環境機器などの産業機械部品を手がけ、受注によっては最終の組み立てまでも担う。創業は1968年。当初は鉄の薄物加工が中心だったが、70年代後半に受注した豆腐パック詰め機の部品をきっかけにステンレス加工に軸足を置いた。
多品種少量生産から量産にも対応する体制を構築し、持ち込み図面からの製作だけでなく、企画から製品化までのオーダーにも応えられるのが強み。ステンレスを用いる製品は要求精度が高いだけでなく、仕上げの美しさも求められる。数100種類の部品が組み込まれる食品機械の水槽では、ひずみがあるとすべての部品が入らなくなる。同社においては2mm厚のステンレスで幅1.9m、長さ9mの水槽を製作した実績もあり、その加工技術は顧客の厚い信頼を得ている。


 
2015年、技術の差別化と精度、仕上げの向上を図るため、ハンディタイプのファイバーレーザー溶接機を導入した。「医療機器に参入したかった」と酒井志津香社長は解説する。さらに従来から手がける自動機や包装機などもオールステンレス化が進み、受注拡大のため、より高度な技術を必要としていた。
ファイバーレーザー溶接機の導入により板厚0.5mmの高精度な溶接が実現した。従来よりもさらに薄いステンレスの複雑な高精度加工品もひずみなく溶接できるようになった。ロボットも含め、地域でファイバーレーザー導入企業は増えているが、酒井社長は自社の技術に自信を見せる。「治具を考えれば今の設備をもっと使いこなせる」。現在、食品フィルターなどを念頭に0.3mm以下の微細溶接の実現に取り組んでいるという。さらに切断段階でのひずみを抑えるため、ファイバーレーザー切断機の導入も検討しているところだ。  
一方、同社は2019年度に愛媛県が展開した東予東部圏域振興イベント「えひめさんさん物語」に参加した。1日限りではあったが、アーティストとのコラボレーションで工場を遊園地さながらのアトラクション施設に変え、一般開放した。来場者の評価は上々。近隣住民も多く訪れ、会社の事業に多くの理解が得られたという。ただそれ以上に酒井社長を喜ばせたのが社員たちの表情。「仕事をしている時以上の笑顔が見られた」と顔をほころばせる。

「ステンレスはさびず、信頼と輝きを与える。社員もやりがいを見つけて輝ける人になって欲しい」と酒井社長。今、同社では若手の成長が著しく、先輩の姿を見て技術を磨いている。これまで溶接経験がなかった新入社員もすでにファイバーレーザー溶接機を扱えるようになったという。技術は磨いた分だけ顧客の信頼が得られる。現場を支える社員の士気の高さも競争力になっている。