792-0873 愛媛県新居浜市垣生三丁目乙310番の1 TEL089746-3311 FAX089746-2264

人の技術と設備の融合で実現する大型部品の精密加工

2017年認定【認定製品・技術】長尺・大型ワーク多品種小ロット部品の精密機械加工

 

 
 

稲見工作所は1953年に創業。当初は汎用旋盤とラジアルボール盤のみの設備で焼き玉エンジンのメンテナンスや修理などを手がけていた。その後、住友重機械工業から仕事を受注するようになり、1963年、協力工場の指定を受けるとモーター部品の加工が本格化。オイルショックなど波はありながらも事業は拡大した。約50年前に住友重機が新居浜市から愛知県にモーターの拠点を移した後、今もなお部品の供給は続いている。現在は1990年に垣生工業団地に開設した工場に拠点を移し、大型部品加工をメーンに事業を展開している。
同社は工作機械による機械加工を強みとしている。モーターや減速機の中・大型鋳物部品の精密加工をベースに、鋳物以外の金属加工にも範囲を広げる。数値制御(NC)でできない部分は人の技術で補い、直径2mのフランジなどは材料から削り出し、さらに薄い部分を精密に仕上げるノウハウを有する。長軸も得意分野で最長8mの丸棒の加工が可能だ。同社が手がける大物部品は肉厚が薄いものの加工が多い。ゆがみが出やすい難しい加工だが、段取り時のチャッキングと加工手順に独自のノウハウがある。
 

 

鋳物の機械加工、大物の中量産品加工は地域に手がける企業が少ない。稲見孝介社長は「手がけているのはニッチな分野」と解説する。月に100個作る部品もあれば、少ないものは5個にとどまる。「設備をうまく活用して生産効率を高めている」と稲見社長。量産品はNCに頼りがちだが、鋳物は異形が多い。汎用旋盤とNC加工機をうまく組み合わせることで加工時間のロスを最短にしている。このため技術教育的な観点も踏まえ、若い従業員にも汎用旋盤を使った加工を指導している。
同社は鋳物加工からスタートしたが、新分野への挑戦も活発だ。「こんなものが作れないか」という依頼に応えながら事業領域を広げてきた。10年前、受注の95%を占めていた、住友重機械の仕事は現在60%。仕事が減ったわけではなく、他社からの受注が増えてきた。手がける製品も水処理設備や食品機械など一般産業用機械部品が増加している。大手の生産の海外移転に伴い国内の仕事は減る傾向だが、「国内に残るものを重視していく」と稲見社長は意気込む。モノづくり企業が多い地域の利点を生かし、企業同士がつながって強さを出す地盤が四国にはあると確信している。すでに昔のモーター製品の復刻版を中小企業の連携で完成品として作り上げている実績もある。部品のユニット化、表面処理ニーズも強まっていることから、今後ネットワークの拡大を進めたいという。一方で独自の領域としてロボット向けなどで求められる減速機の部品など新しい部品加工にも挑戦していく。「これまで引き継いできた技術を元に新しいものを生み出していきたい」と、稲見社長は力を込める。


 

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