ユースエンジニアリングは1970年に創業した。化学プラントの配管設計を手がける設計事務所からスタートし、ものづくり企業としての付加価値を模索する中で、装置の受託・製造を手がけるメーカーへと転身してきた。90年代には半導体工場の製造ラインのメンテナンスに従事。2000年代には液晶パネル、10年代には環境関連機器といった品質要求の高い生産設備に携わった。04年にはクリーンルームを完備した黒島工場が完成し、自社で組み立てやテストを行える体制も整えた。現在はプロセス装置やFA機器、ソフトも含めた電子機器の受託製造・販売、3D動画を用いたマニュアル制作などのドキュメント事業を展開する。


機械と電子の設計・製作技術を持ち合わせているのが同社の強みだ。「ノウハウが不足していてもユーザーと繰り返し話をしていれば、業界のマーケティング、ターゲッティングが分かってくる」と池田桂三社長。市場をよく見て、自分たちの技術で勝てる範囲にユーザーのニーズがあれば、そこに駒を進めて事業領域を広げる。事業が広がれば、さらに開発力やノウハウが蓄積される。大手メーカーとの共同研究や必要な知財を持つ企業との連携も積極的に進め、自社の力を高めている。
市場を見極め、投入した自社製品の一つが、フィルム基盤上に連続して薄膜を形成する「ロールツーロール式真空成膜装置」。真空状態でプラズマを放電させ、その際に飛び出した分子レベルの金属材料をフィルム基盤に付着させて薄膜を成膜する。「開発費がかかる装置で基本的には大手メーカーの範疇」と池田社長は解説する。これをラボ用の小型装置として製品化することで市場をつかんだ。

