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塗装前の下地処理専用工場を有し、高品質の重防食塗装を提供。

2015年認定【認定製品・技術】サンドブラストによる重防食塗装技術

 

吉田塗装の創業は1948年で、大阪で塗装職人をしていた創業者が、住友重機械工業の塗装仕事を請け負うことをきっかけに、新居浜市に拠点を構えた。現在は新居浜工場(住友重機械工業内)と西条工場(愛媛臨海団地内)の2工場体制で、大型重量物の塗装にも対応できる体制を整えている。

同社が得意とする塗装は、鉄を守る重防食塗装と呼ばれる技術。「住友重機械工業のクレーンを塗装する仕事で、学ぶ機会があった」(吉田達哉社長)ことがきっかけで、この技術力を高めていった。一般的な塗装の厚さが30~50ミクロンなのに対し、重防食塗装では基材と硬化剤を混ぜることで化学反応によって固まる特殊な塗料を100~300ミクロンの厚さで塗装することで、空気や水の浸入を防ぐ。主に船の艤装(ぎそう)品や荷役機械、橋梁部品、舶用クレーンなどの海岸付近で使用する鉄製構造物の塗装に欠かせない技術だ。


 

塗装の際には、表面を凹凸にして塗料が付着しやすいように下地処理をする必要で、「下地処理を上手く行わないと、いくら高級な塗料でも剥がれてしまう」という。さまざまな処理方法があるが、同社では砂を鉄の表面に高速で吹き付けて凹凸を付ける「サンドブラスト」と呼ばれる技術を用いる。造船関連や橋梁などから指定される場合が多く、サンドブラスト専用工場の西条工場には、10トンクレーン1基と2.8トンクレーン2基を完備し、大型重量物に対応。移動式のテントハウスも4基備えており、天候に左右されず作業をすることができるなど、さまざまなニーズに対応できる体制を構築している。大量に発生する残砂の処理や大きなスペースが必要なため「中小企業で設備を持っているところは少ない」と胸を張る。また複雑な形状の部材に対応するため、作業は手作業で行われる。防護服を着て視界の狭い中での作業となるため、長年の経験と技術の見せどころとなる。
サンドブラストで使用した残砂は、年間でダンプカー100台以上にもなり、産業廃棄物として処理する必要があるため、「年間で数百万円の費用が掛かっている」という。同社では一度使用した砂を再利用するために、残砂から異物を取り除く機械の導入も検討しているが、残砂をコンクリート材などに2次利用する研究を進めている。これが実現すれば、新たな事業の創出に加え、環境面でも大きな貢献ができるとしている。
現在は東予地域を中心に事業を行っているが、今後は「四国全域、中国地方と商圏を広げていき、将来的には東南アジアにも展開していきたい」と夢は広がる。