タイワは1989年に創業したソフトウエアメーカー。汎用CAD/CAMソフト「実寸法師」を展開し、鉄工所や設計事務所など、納入実績は全国で2000社を超える。特に建築用鉄骨の設計・製作業者に広く採用されており、大手ソフトメーカーが手がける鉄骨専用CADで困難な細かな作業を補完できることから、専用CADシステムをさらに高機能化する製品として大手との協業が活発だ。



同社はプラントやコンベア関連の金属製品を手がける鉄工所が前身。「実寸法師」は社内用に独自開発したCAD/CAMシステムを外販用に発展させた。文書作成や表計算、データベース機能、3次元(3D)モデルの構築などを図面上で行える統合システムで、入出力形式は数10種類、工作機械など100機種以上の入出力デバイスに対応する。
販売開始以来、多くの機能を追加してきたが、ベース技術ごとにパッケージ化しており、「多機能だが、使いやすい製品」(近藤健司社長)に仕上がっている。また、カスタマイズ性の高さも特徴の一つで、CAD上のオペレーションをカード化する独自技術によって、CADとデータベースのシステムを統合。カードと専用言語を用いて、検索、抽出、集計したデータから帳票を作成するなど、複雑な指示を簡単なカスタマイズで実行できるようにしている。これはユーザー自身が必要に合わせてシステムをアレンジできる仕組みだが、同社においてもユーザーニーズに迅速に対応できる体制の構築につながったという。
建築業界ではビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)という手法が発展してきた。コンピュータ上の3Dモデルにコストや仕上げ、管理情報などのデータを付加し、協業するさまざまな業者がすべての工程でデータを共有しながらプロジェクトを進める仕組みだ。ユーザーが使うCADやそのほかのシステム、工作機械なども連携が必要になる。同社も7年前から3次元CADの開発に着手。培ってきたシステムや機器連携のノウハウを生かし、「建築鉄骨におけるBIMに足りない部分を補うシステム」として「実寸法師3D」を完成した。


今後は、この製品を鉄骨関連のユーザーだけでなく、建築業界のさまざまな分野で使ってもらい、広く業界全体に貢献することを目標に掲げる。ただ一方で「浮気している暇がない」ほどに鉄骨業界の要望も多い。「タイワに頼めばなんとかなると言う声も聞かれる」と話す近藤社長。鉄骨業界のニーズに応えることを一番の責務とし、CADシステムで協業する企業とのつながりの中で建築業界全体に広がる営業を考えていきたいとしている。
