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アルミ一筋に技術を追求。

2015年認定【認定製品・技術】①アルミ構造物(曲げ、溶接技術)、②ブスバーの設計から製作、現地工事までの一貫した提案

 

田口工業所の前身田口工業溶接所は、1943年に住友化学の下請けとして創業し、51年に現社名に改称した。創業当初は主にプラント工事を請け負っていたが、昭和30年代後半から「他社との差別化を図りたかった」(田口義正社長)と、当時は珍しかったアメリカ製のアルミ溶接機を取り寄せ、専用の機器や技術を必要とするアルミ溶接技術で他社との差別化を目指した。以後、半世紀以上に渡りアルミ溶接の技術を追求。アルミ溶接機などアルミ溶接に特化した生産設備も完備し、現在ではアルミ構造物の設計から据え付けまでを行える一貫生産体制を確立している。


 
アルミ関連事業は、売り上げの約6割を占める主力事業だ。その一つがアルミ製構造物の製作で、遊具や遊歩道、飛行場のパラボナアンテナ、瀬戸大橋の点検台車、アルミサイロなど製作実績は多岐にわたる。同社では社員全員にアルミ溶接免許の取得を課しており、現在20名が同免許を保有。こうした社員一人一人の力が結集し、高品質な製品を生み出している。
もう一つの主力製品が、ブスバーと呼ばれる導電体だ。ブスバーとは、主に配電盤や制御盤などに取り付け、大容量の電流を分岐する際などに用いられるもので、同社によると、その約7割に導電率の高い銅製が使用されているという。
同社では導電率が銅より劣るが、材料コストが3分の1~4分の1で、大幅な軽量化が図れるというアルミの特性を生かして、銅製ブスバーからアルミ製ブスバーへの変更を提案に注力している。アルミ製ブスバーの製造工程では、アルミの溶接に加えて高度な曲げ技術が要求される。アルミの薄板を何枚も重ねたものに曲げ加工を行うには、同社が長年培ってきたノウハウが生かされている。同社では「弱電メーカーは、ほとんどが銅製のものを使用しているので、そこに向けてコストの安いアルミ製を提案していきたい」と、設計から現場施工までを一括受注できる強みを生かした提案営業により、受注拡大を目指したいとしている。

現在、アルミと銅の接合技術の確立を目指して研究を進めている。可能になれば、アルミ製ブスバーの電極部分を銅にすることが可能になり、現在のアルミ製ブスバーに比べて格段に導電率が高まり、効率性が向上するという。こうした新たな技術の研究に取り組む一方、「アルミ溶接の技術をさらに高めていきたい」と、同社のコア技術の向上にも余念がない。