ピクセルソフトウエアは1990年の創業で、さまざまな工場に導入されている監視・制御・検査システムや製造ラインの自動化システム、POSシステムなどの販売管理システムの設計・開発を行っている。中でも食品・化学・製鉄工場向けのプラント監視・制御システムは、日本全国で500件以上の納入実績を誇り、海外の工場でも数多く導入されている。
同社が手がける監視・制御システムは、データロガーと呼ばれる各種計測データを収集する装置を解析し、その解析データをリアルタイムで分かりやすくグラフやグラフィック表示することで、工場全体の稼働状況などを監視・制御するシステム。例えば製鉄所向けのシステムでは、鉄板にする圧延工程における温度や鉄板の厚み、幅、反りなどといった生産ラインの監視を行う。


同社がシステム開発にあたって最も重要視するのが「止まらないシステムを構築する」(矢吹隆志社長)ことだという。同社のシステムが導入される各種生産ラインでは、ほぼ24時間体制で監視・制御を行う必要がある。仮に同社のシステムが停止してしまうと、生産ライン全体が停止してしまい、顧客に対して多大な損害を与えてしまう可能性がある。こうした事態を発生させないための設計ノウハウが同社の財産で「先輩方が苦労しながら作ってきたものを、現在の技術に合った形にバージョンアップして使っていく」ことが、同社が作り出す安全性の高いシステムの基盤となっているという。
矢吹社長は「技術的に特別なものはない」と謙遜する一方、大手が参入してこないニッチ市場の開拓と、顧客の要望に素早く対応することで顧客を増やしてきた。また同社では「できないと言わない」というポリシーがあり、時にはコストが見合わない仕事を受けることもあるという。しかし、そうした仕事を受けることで「顧客との間に信頼関係が生まれて、違う部署や知り合いのお客さんを紹介して頂ける」という。同社では営業担当を置かず、SEが見積もりから設計、開発、テスト、納品までを担当するため、新たな顧客を獲得するためには『次につなげる』ことが大切だという。

現在同社では、ウェブ上で入力・承認・分析ができる製造部門向けの電子操業日誌と、「モバイル端末でプラントを監視できるシステムを開発している。」矢吹社長は「これまで培ってきたノウハウと最先端の技術を融合させて、新しいものを提案したい」と、今後は自社製品の開発を強化していく方針だ。
