大石工作所は、19388年に住友化学菊本製造所構内で機械修理の請負業務を開始し、61年に法人化した。創業以来プラントメンテナンスに特化した事業を展開してきたが、中でも品質・安全面で高いレベルを求められる化学プラントのメンテナンス業務を得意としている。
同社ではプラントの設計から製造、現場施工までを行うことはもとより、日常の点検業務や品質管理、設備診断といったトータルの保全計画を立案・施工できることが特徴。メンテナンス業務全般を管理できるため「お客さまの安全・安定生産に向けた一貫した保守計画を作成することができる」(大石憲一社長)としている。


プラントのメンテナンス業務は、顧客の生産計画の合間をぬって限られた時間の中で効率よく行うことが最も重要だという。大石社長は「我々は長年の経験からお客さまの生産プロセスを理解しているため、お客さまの要望に合わせたメンテナンス計画を提案できる」と、同社の強みを語る。
また同社では、国内でも数少ない円周自動溶接機を保有している。同機は肉厚1ミリメートル、直径6.4~20ミリメートルといった小径ステンレスパイプ用の自動溶接機。小径ステンレスパイプを大量に使用する食品や半導体、薬品プラントにも対応可能だ。

また、プラントメンテナンスの技術力は「機械を入れれば効率や品質が良くなるものではなく、人に依存する割合が多い」と、協力会社を含めた『現場力』の向上にも努めている。同社と協力会社の社員は、各種資格取得の10年計画を個々で作成してスキルアップに取り組んでいる。同社で取得費用などの支援は行うが「当社および協力企業では、伝統的に資格取得に積極的に取り組むことが根付いている」と、個々の自主性を尊重しており、そのためには組織全体の『風土作り』が大切だとしている。
技術者は一朝一夕で育たない。同社でも「作業長になるまでに5年くらいかかる」ということから、今後も継続的に人材教育に注力していく方針。技能者の高齢化に伴う技能伝承も重要課題で「基本的なことは日常の仕事の中で教えていくが、重要な部分はリストを作成して計画的に進めていきたい」としている。
