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実体管理で応力除去。小ロット対応も強化

2017年認定【認定製品・技術】大型製缶品応力除去 金属熱処理技術

 

四国熱錬は超大型、中型、小型、3種の熱処理炉を駆使した大物ワークの焼き入れ焼き戻し、焼鈍、応力除去などの各種金属熱処理とサンドブラスト、下地塗装を手がける。設立は1974年。幅5m×長さ10m×高さ4mと中四国の熱処理専業事業者の中では最大級の炉を導入して事業をスタートした。当時から住友グループをメーン顧客とし、化学プラント系タンクやプレスフレームの架台、溶接構造品など中国、四国、九州地域の仕事を受注している。


 

熱処理においては温度管理が重要な技術になる。同社では焼き入れは炉内の温度を見る雰囲気管理、応力除去ではワークに熱電対を付ける実体管理と管理手法を使い分ける。特に加工精度の向上、経年変化の抑制を目的とする応力除去ではワーク自体の温度がどこまで上がったか、細かく把握しなければならないからだ。現在の大型炉は長さ15mのワークまで対応するが、実態管理は通常15mで3点を監視。顧客の要望に応じて6点、9点と計測点を増やすこともある。熱電対の取り付け位置も独自のノウハウ。競争力の一つだ。こうした管理の下、応力除去では炉内温度を625℃±20℃の範囲でコントロールする。

現在の受注は鋼材販社からの鋼材時点での焼き入れの依頼と、鉄工所からの製缶構造物の応力除去の依頼がおよそ1対1の比率。「従来は粗加工してからの焼き入れが主流だったが、素材からの焼き入れが増えてきた」と得能教充工場長。顧客数は減少傾向にあり、全体の処理量も減っているという。このため2017年11月に老朽化した小型炉を更新。小ロット対応を強化した。
同社では大型炉は応力除去に特化し、焼き入れ等は中型炉をメーンに使ってきた。ただ、中型炉は混載するワークがある程度そろわなければ、コスト面から動かせない。受注から一定量がそろうまで1週間程度待つこともあった。新型の小型炉は幅2.2m、長さ2.5m、高さ1.2m。焼き入れ、焼き戻しを自動化し、最短では中1日。3-4日の納期短縮が可能になった。高精度高効率バーナーにより燃費も向上し、燃料コストの削減にもつながった。

1品ものの大型ワークが受注の多くを占めるが、得能工場長は「将来的には量産品も手がけていきたい」と話す。高周波浸炭焼き入れなど表面処理の分野も手がけ、広島や大阪に流出している仕事を四国にとどめたいという。四国には熱処理事業者が5社程度しかなく、対応できる処理も限られる。対応力を高め、“近さ”も武器に受注拡大を図る狙いだ。一方、社内では技能士資格の取得も奨励し、取得にかかる費用も補助している。従業員のモチベーションの維持と知識の向上を図り、競争力を強めている。