ジンノ工業はプラントの配管・設備工事、製缶、各種金属加工を手がける。創業は1984年。住友重機械工業のクレーン部品のほか、製紙関連設備や貯水槽の製作などに携わってきた。さまざまな現場に触れ、社内には豊富な製造ノウハウとユーザーニーズ、製品アイデアが集まる。2013年、神野浩社長はフィルター不要のろ過装置を開発し、以降はメーカー色を強く打ち出している。
現在、力を注ぐ気液二相流旋回型マイクロバブル発生装置「Z-Baburer」は2015年に発売した。装置内部で渦を作り、真空状態で発生する負圧により吐出口の円盤(遊性バッフル)を回転。旋回流によるせん断と遊性バッフルによる物理的な刺激で大量のマイクロバブルを生み出す。
供給できる最小の泡は10マイクロメートル。神野社長は「旋回流せん断方式は供給する粒径のコントロールもしやすい」と解説する。

他社製品と差別化するための独自性能を“動力”に絞り込んだ「Z-Baburer」。標準モデルは水圧さえあればバブルを作り出せる。コンプレッサーなどが不要で、電気代は同等性能の他社製品比3分の1。24時間フル稼働するユーザーにとってランニングコストの低さは魅力的だった。

一方、独自構造でろ過とフィルター洗浄を同時に行う「ウォータースクリュー濾過フィルター」も同社の技術が結集された製品である。大手企業から仕様を定めた開発依頼があり幾度のフィールドテストを重ねて耐久性など性能向上を図り完成に至った。その技術は国にも認められ2015年文部科学大臣賞である『創意工夫功労者賞』を受賞した。
さらに2018年には「Z-Baburer」を内蔵した小型ユニットである微細泡発生装置「バブリア」も『創意工夫功労者賞』を受賞。主に洗浄装置として活用されており、用途に応じたオーダーサイズが可能なもの、家庭用電源に対応しているものなど、試作・改良を重ね様々なバージョンが存在することから今後もさらなる販路拡大に期待が持てる製品である。
神野社長は「開発を進め、さらに声を聞くことで新たな商品の発見につながっている」と客先で聞く顧客の悩みなども製品開発のヒントとしており、今後も基本技術をベースに試作開発を行うメーカーとしての歩みに自信を見せている。
