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新開発のヒュームや騒音が少ないTigガウジング工法

2024年認定【認定製品・技術】Tigガウジング工法

 

神野工業は製缶業務をメインに創業。現在の社長の代になると、製紙、化学、水門などに分野を広げ、様々なものづくりを経験してきた。そんな中である製紙会社のニーズから水と固形物を分離する際に使用する目詰まりがし難い「ウォータースクリュー濾過フィルター」を開発し、初めて特許を取得した。 様々な業界から反響があり、そこからまた派生して「マイクロバブル発生装置」を開発するに至った。用途のひとつとして市内にある温浴施設でも利用されている。納品して以来、故障も無いのはこれまで培ってきた機械加工や製缶のノウハウが詰まっているからだ。これまで2度の文部科学大臣「創意工夫功労賞」を受賞してきた。

今回、開発したTIGガウジングは、某電力会社の原子力発電施設の廃炉に使われる技術のひとつである。施設内では大小様々なステンレス配管が張り巡らされており、また配管を流れる物質には人体に有害であったり火気厳禁であったりするものもある。それらの中で厚みのある配管を切断する際、従来のアークガウジングでは火花が周辺に飛散するために使用することができない。そのため、グラインダーやノコギリでカットするが、厚みのある配管では相当の時間と労力がかかってしまう。
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TIGガウジングはTIG溶接の原理を応用した技術で、辺りに火花を飛散させずに厚みのある配管でもカットすることができ、貫通させずに薄皮一枚を残すこともできる。従来のガウジングが熱で金属や火花を四方に散らせてバチバチと掘っていくのに対し、TIGガウジングでは溶融池をうまくコントロールすることで溶かした金属はポタポタと静かに下に落として深掘りすることができる。 また厚物の溶接時の裏はつりでも利用することができ、アルゴンガスで被覆されるため、カーボンの含有量が少なく不良となる原因が少なくなり後処理も極めて楽になる。本技術の肝となるノズル構造で特許を取得した。社長のご子息である神野太郎さんが開発リーダーを務めている。

新聞への掲載や展示会出展を経て引き合いも多く来ている。昨今は労働安全衛生法の改正や職場環境に配慮する企業も多い。例えば、鋳物を成型した後、湯口やエア抜きを切断する際に従来のガウジングを用いると騒音やヒュームガスが発生して作業環境がよろしくない。TIGガウジングでは、発生するヒュームも騒音も抑えられる。 今後は、付加価値の高い高精度な加工ができ、それらを活かした新しい開発ができる会社にしていきたいと神野リーダーは話す。これまで培ってきた技術やノウハウを元に様々な課題を解決する新たなアイデアを産み出すのが同社の強みだ。