株式会社ホクトの前身は電子部品製造会社。1970年頃から大手電機メーカーの共栄会社として電子部品の開発・製造を行っていたが、80年代には大手メーカーの海外生産シフトに伴い受注が減少。こうした中でモーターの技術者だった創業者が、83年頃に駆動部分と電気制御装置が隔離された構造を持つ、水周りでも使用できる特性を持った独自のモーターを開発。これを機に、このモーターを活かした自社オリジナル商品の開発を始めた。
試行錯誤を繰り返し、85年頃に現在の主力製品「うろこ取り名人」が誕生。2005年には、同製品をはじめとする自社製品の開発・製造・販売を行う有限会社名人工房を設立。09年には現社名に改称、モーター技術を幅広い分野に応用した研究開発を進めている。


「うろこ取り名人」は、文字通り魚のうろこを取り除くハンディタイプの加工機械。先に記した構造で、水を流しながら使用できることが最大の特徴。小型軽量低振動のモーター部の先端に取り付けられた独自形状の刃が回転し、うろこをかき取っていく仕組み。回転刃は、回転中に誤って触れても怪我をしにくい独自の形状のため、魚の身を傷つけることなく安全に使用できる。また刃先を使えば、細かい箇所での作業ができるよう、工夫を凝らした形状になっている。

10年には、九州大学応用力学研究所が中心に進める「風レンズ風車」という、負圧を利用した高効率な風車技術を軸とした次世代風力発電システムの開発・実用化プロジェクトに参加。モーター技術を応用したストレスフリーの高トルクな発電機の開発を担当している。現在、24年の実用化を目指して全国各地で実証実験が進んでおり、高橋義樹社長は、高効率を維持しながら部品点数や製造工程を少なくし、コストの低減ができるかが、実用化に向けた大きな課題と捉えている。
