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クレーンの安全装置であるレールクランプは高レベル、高品質。

2018年認定【認定製品・技術】レールクランプ

 

愛新鉄工所は1940年に創業した。住友化学のバルブメンテナンス会社として創業し、仕上げ、製缶、溶接、機械加工技術を培ってきた。現在は売上高の70%が機械装置の製造で、残る30%がプラントメンテナンスという事業構成。クレーンの走行装置や関連する吊具、レールクランプ、プレス機用の油圧機器などを一貫生産する一方、バルブのオーバーホールなどを手がける。住友金属鉱山、住友化学、住友重機械工業、大王製紙の4社を主要取引先とし、「創業70年を超え、新居浜の中でも歴史ある会社になってきた」、と胸を張る。


 
従業員30名の力で、機械加工から製缶、溶接、仕上げ、組み立てまで、自社内で完結させる総合力が同社の強みだ。それに加え、操業を止められない顧客ニーズに迅速に答え、特急の難しい仕事にも対応する柔軟性も併せ持つ。「基本的にノーと言わない」。創業以来、技術が広がり、蓄積されてきた理由もここにある。近年は省力化と生産性向上に力を入れており、2016年3月に本社に隣接する松の木工場に溶接ロボットを導入。より多くの製品を生産する体制の構築に着手した。18年5月には松の木工場に機械装置の組み立てを行う新棟が完成し、手狭になってきた工場に余力も確保している。
昨今、クレーンの走行装置に関連するレールクランプに注目が集まっている。レールクランプは自動車のパーキングブレーキのようなもので、レールをつかんでクレーンを安全に固定する装置。同社製品は連続アンローダー(CUL)などにも採用されている。クレーンが大きくなれば大きな把握力が必要だが、把握力を求めると保持部のストロークが短くなる。一方で短いストロークでは可動域が狭まり、微調整が難しくなる。「数ミリ違うだけでレールをつかまなくなってしまう」。そこで同社は部品の配置を最適化し、ツメの保持力を高めるなど工夫を凝らして高い要求をクリアしている。11年に発生した東日本大震災では多くのクレーンが津波に流された。レールクランプは必ず必要とされるものではなかったが、この経験を踏まえ、後付け需要が増えている。同社は国内すべてのレールに種類や形状、方式を問わず対応しており、オーバーホールやメンテナンスにも同社が強みとする一貫製造体制で応じる。

一方で新たな受注につながりそうな案件も増えている。鉄鋼分野の搬送装置や自動車、電気分野などから引き合いがきている。課題は生産能力だ。新たな工作機械の導入や、工場内物流を考えた建屋の再配置を進め、積極的に能力を高めていく構えだ。「新居浜に根ざし、引っ張ってきてもらった。これからは新居浜の産業を引っ張っていける会社になっていきたい」、と力を込める。